2014/5月掲載

「セントラルステーション」「不滅の恋/ベートーヴェン」

 

 

 

セントラル・

   ステーション

 

 

1998年製作 ブラジル映画 上映時間151 

                  <予告篇>

 

監督:ウォルター・サレス

出演:フェルナンタ・モンテネグロ 

   ヴィニシウス・デ・オリヴェイラ

   マリリア・ベラ

 

中年女性のドーラは元教師です。リオの中央駅の片隅で字の書けない人たちのために手紙の代筆をして生計を立てています。しかし、料金だけ取って頼まれた手紙を出さないのです。駅にはそこを仕切っている裏組織がありドーラのような小さな商いでもショバ代を払わないと店は出せません。その裏組織の容赦ない仕打ちをあらかじめ見せておくことによってドーラのその後の行動に説得力を持たせています。 

 

ある日、彼女の所へ息子をつれた母親がやって来て夫への手紙を依頼します。しかしその直後、母親がバスにはねられ急死してしまいます。ドーラは仕方なく行き場を失った少年ジョズエを連れて、彼の父親探しの旅に出る羽目になってしまいます。だからといってドーラが「いい人」になったわけではありません。それはドーラのとったある行動が裏目に出た結果だったのです。角を突き合わせながらの旅が続きますがジョズエは目端が利きドーラの危機を救ったりもします。道すがらドーラの人生が語られたり、悲しい思い違いがあったりもしますが、二人の距離は少しづつ縮まっていきます。そして変化のない人生に倦んでいたドーラが少しづつ前向きになっていくのです。後半ジョズエの母親が残したハンカチと彼女が事故死するきっかけとなったコマに優しく命が吹き込まれます。


 

不滅/

 ベートヴェン

 

 

1995年日本公開 アメリカ映画 上映時間2

   

監督:バーナード・ローズ

出演:ゲーリー・オールドマン / イザベラ・ロッセリーニ 

   ヨハンナ・テア・ステーゲ / ジェローン・クラッペ

 

 

1827年、ウィーン。一人の偉大な作曲家が臨終の床についています。彼の名はルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン。その死後まもなく、彼の遺書が発見されます。そこには彼が〈不滅の恋人〉と呼ぶ女性に、熱い想いを込めて書いた言葉がしたためてあり、全合曲、財産を彼女に残すと書かれていました。だがそこに女性の名前はありません。

彼の弟子であり親友だったアントン・シンドラーは、その<恋人>を探しはじめます。ベートーヴェンの作曲家人生を追いながらその恋人は誰か――、という謎解き仕立てにもなっているのです。生涯女性の愛に恵まれず、民衆からも偏屈な人物と思われていたベートーヴェンの、過酷な生い立ちを明らかにすることによって、彼の本当の姿、そして聴覚障害の為、自らの偉大な音楽も聴衆の賞賛も聴くことが出来なかった壮絶な人生を描きだしていきます。

ラスト<第九>が演奏される中、意外な恋人が明らかになります。ゲイリー・オールドマンがくせのある役どころを見事に演じています。 

 

作中演奏される曲 運命・エリーゼのために・英雄・月光・田園・皇帝 など