2015年4月掲載

「フルメタル・ジャケット」「ライセンス・トゥ・キル」



フルメル・ジャット


1987年 アメリカ映画 1h56 


監督 スタンリー・キューブリック


出演 マシュー・モディーン/アダム・ボールドウィン/     

     

      ビンセント・ドノフリオ

 




1987年製作のスタンリー・キューブリック監督作品。ベトナム戦争時、徹底した殺人マ


シーンとしての訓練を受けたアメリカの若者たちが戦場の最前線で、“戦争”の地獄のような


体験をする映画だ。二部構成となっていて、前半の新兵が受ける過酷な訓練場面と後半のベト


ナム市街地で展開される戦闘シーンが映し出される。


とりわけ前半の、訓練を受けた兵士たちがミッキーマウスのマーチに乗って行進する様子は


出色である。戦争に対するキューブリック監督の冷徹な視線が全編に貫かれている。キューブ


リック監督は、戦場では登場人物を一切成長させない。


この映画のハートマン訓練教官役への演技指導として、実際に海兵隊の訓練教官を務めた経


験のあるリー・アーメイが呼ばれたが、その迫力が余りに生々しくリアルだったため、本人自


身が鬼教官役を演じた。


また、日本語字幕の翻訳を当初、戸田奈津子が担当したが、ハートマン軍曹のセリフを穏当


に意訳したためにキューブリック監督は、「汚さが出ていない」として却下。その代わりに原


田眞人が起用され作業にあたったことなども話題になった。原田眞人は日本語吹替え版も担当


したが、公開はされていない。

(せん寿)

 




 

 

ライセンス・トゥ・キル

     1984年公開 アメリカ映画(TV) 上映時間 136

                  <裁判シーン・字幕なし>

 




   監督:ジャド・テイラー

    

   出演:ジェームズ・ファレンティーノ / デンゼル・ワシントン

      ミリー・パーキンス             

                                                              

 

色々あって久しぶりの更新です。今回取り上げた作品はタイトルだけをみると007と間違え

 

そうですが、こちらの「ライセンス」とは運転免許証のことです。この映画は1984年にTV


映画として公開された作品でデンゼル・ワシントンがまだ無名だったころのものですし、主役


でもありません。しかし、その立ち振る舞い、存在感はなかなかのものです。

 

高校を優秀な成績で卒業したばかりの少女リネットですが、飲酒運転によって一命を落として

 

しまいます。加害者トム・フィスクは「たかがコップ二杯だけで大したことではなく事故は飲

 

酒が原因ではない」と事前にすれ違った自転車のせいにして突っぱねます。建築会社の経営者

 

でもあるトムは著名な弁護士を雇い罪の軽減を計ります。一方、被害者リネットの父親ジョン

 

はトムへの復讐を誓い彼を有罪にすべく刑事裁判に持ち込み何度も法廷に足を運びます。娘の

 

死を未だに受け止められない妻ジュディスと裁判に執念を燃やすジョン。被害者の家族も次

 

第にすれ違いはじめていきます。しかも、裁判は遅々として進みません。イライラが募るジョ

 

ンをなだめ「私を信頼してください」と説得するソーヤー検事(デンゼル・ワシントン)。

 

がて、トムの飲酒運転は恒常的なものだったことが明らかになっていきますがトムはそれで

 

なお言を左右にして罪を認めようとはしません。

 

そのときソーヤー検事がある事実を突き付けて・・・。

 

加害者、被害者の区別なく家庭が壊れていく飲酒運転の恐ろしさを描いています。

 

裁判のシーンはなかなかの迫力です。この映画は日本未公開ですがDVDで鑑賞できます    

 

                                     <紅孔雀>