「Ray / レイ」


 

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  2004年製作 アメリカ映画 上映時間232

   <予告編>日本語字幕なし

   <ヒット・ザ・ロード・ジャック> 楽曲誕生の場面(映画「Ray/レイ」より)

   監督:テイラー・ハックフォード

   出演:ジェイミー・フォックス / ケリー・ワシントン / シャロン・ウォーレン

 

 

次回第389回例会「ストックホルムでワルツを」の中に出てくる曲「ヒット・ザ・ロード・ジャック」はレイ・チャールズが歌って世界的ヒットとなった曲です。

そこでレイ・チャールズがこの曲を歌う経緯や場面が描かれている彼の伝記的映画「Ray/レイ」を紹介します。ジェイミー・フォックスがレイ・チャールズに同化したかのような見事な成り切りぶりでアカデミー主演男優賞を受賞しています。

ピアノもジェイミー・フォックス自身が弾いています。

レイは少年時代、自分の不注意で弟のジョージを死なせてしまったと思っています。そのトラウマが生涯彼を苦しめ、ヘロインに手をだす原因にもなるのです。レイは7歳の時、緑内障で完全に視力を失います。その時、母アレサはこう言い聞かせるのです。「泣いている暇はない。誰も憐れんではくれないの。盲目でもバカじゃあない。おまえに一度は教える。二度目は手を貸す。でも三度目はないわ」その時からレイは耳を目にして生きていくことになりますが、この母の教えを生涯忘れることはありませんでした。1948年、17歳になったレイは、シアトルに出て、音楽の活動を始めます。レイは盲目の天才と呼ばれ、やがてバンドの一員としてツアーに参加します。54年にはゴスペル・シンガーのデラ・ビーと結婚しますが、その後ビーはレイの麻薬と女性問題に悩むことになります。60年に『我が心のジョージア』で初のグラミー賞を受賞し、生まれ故郷ジョージアでコンサートをすることになります。

しかし、ジョージア州がいまだに黒人差別をしていることに抗議しキャンセルするのです。その間もレイの女癖の悪さとヘロインの常習は相変わらずです。愛人の一人マージー・ヘンドリックスはバックコーラスの一員でした。そのマージーが妊娠し結婚を迫ります。

でもレイには妻と別れる気は全くありません。そんな修羅場の最中にあの「ヒット・ザ・ロード・ジャック」を歌い、ヒットさせてしまうのですからこの男のしたたかさと、すべてを音楽に変えてしまう才能に脱帽するしかありません。65年、レイはボストンの空港で、麻薬の所持で逮捕されてしまいます。自発的に更生クリニックに入ったレイは苦闘の末、麻薬から逃れることに成功します。

この映画を観るとレイ・チャールズが「ソウルの神様」と言われるまでになったのは、レイに生きていく力をつけてくれた母とレイの弱さを知った上で彼の才能を信じ、支え続けた妻と体の中からあふれ出る音楽だった事がよくわかります。

この映画はレイ・チャールズの半生を知ると同時に次から次へと出てくるヒット曲の数々を堪能できる作品になっています。レイ・チャールズ2004610日没・享年73歳。監督は「愛と青春の旅立ち」のテイラー・ハックフォードです。

 

<紅孔雀>