2013/5月掲載

「恐怖の報酬」「フリーダム・ライターズ」


 

 

 

1953年製作 フランス映画 上映時間228

               

 STAFF

  監督・・・アンリ=ジョルジュ・クルーゾー

  脚本・・・アンリ=ジョルジュ・クルーゾー

  撮影・・・アルマン・ティラール

  音楽・・・ジョルジュ・オーリック

 

 CAST

  マリオ・・・イヴ・モンタン

  ジョー・・・シャルル・ヴァネル

  ビンバ・・・ペーター・ファン・アイク

  ルイジ・・・フォルコ・ルリ

 

今から60年前のアンリ=ジョリュジュ・クルーゾー監督の不朽の傑作サスペンスです。ベネズエラの場末の街ラス・ピエ

 

ドラスには油田の仕事に有り付こうと世界各国の食いつめ者が集まっています。コルシカ人マリオ(イヴ・モンタン)も

 

そんな人間の一人です。そこへ、パリで食いつめたジョー(シャルル・ヴァネル)が流れてきてマリオと親しくなりま

 

す。ある日、町から500キロ先の山の上の油井が火事になり、多くの犠牲者が出ます。石油会社ではニトログリセリンを

 

運び上げ、爆風によって鎮火することにします。少しのショックでも爆発するニトログリセリン運搬のための運転手は賞

 

金つきで募集され、マリオ、ジョー、ビンバ、ルイジの4人が2台の車で油井に向うことになります。ニトロは1台分でい

 

いのですが途中で1台が爆発した時のために2台で運ぶのです。マリオとジョーの組が先発、30分遅れてルイジとビンバ

 

の組が出発します。マリオの組は、ほら吹きジョーが全く意気地がなくて二人の協力がうまく行かず、後から来たビンバ

 

組に追いこされてしまいます。その後もマリオは臆病風に吹かれたジョーに手を焼きながら油田に向っていきますが…。

 

洗濯板のような道でトラックとニトロが揺さ振られながらゆっくり進んでいく様は手に汗を握ります。途中崖からせり出

 

した棚の上での切り返しや落石に道をふさがれ爆破する場面、更には送油管が切れて油が溜まった窪地からの脱出など、

 

これでもかという緊張の連続で飽きさせません。シナリオと演出のうまさに感心します。

 

前半、食いつめ者たちの様子を描いた部分が間延びしてやや冗長ですが、その間に登場人物の性格をじっくりと描

 

いており後半を説得力あるものにしています。

 


 

リーダム  

 

     ・ライターズ   

 

 

2007年日本公開 アメリカ映画 上映時間2h03  

 

 

 

STAFF

 監督/脚本・・・リチャード・ラグラヴェネーズ

 原作・・・・・ エリン・グルーウェル

        フリーダム・ライターズ

 撮影・・・・・ ジム・デノールト 

 音楽・・・・・マーク・アイシャム

          ウィル・アイ・アム

 

CAST

エリン・グル―ウェル・・・・ヒラリー・スワンク

スコット・ケーシー・・・・・パトリック・デンプシー

スティーブ・グル―ウェル・・スコット・グレン

マーガレット・キャンベル・・イメルダ・スタウントン

 

実在の教師エリン・グル―ウェルとその生徒たちによる同名の原作を映画化したものです。1994年のロ

 

サンゼルスを舞台に、荒廃した生徒たちの成長を描いています。主演と製作総指揮は「ボーイズ・ドン

 

ト・クライ」、「ミリオンダラー・ベイビー」でアカデミー主演女優賞を受賞したヒラリー・スワンクで

 

す。様々な人種の集うウィルソン高校にエリン・グルーウェル(ヒラリー・スワンク)が新任国語教師と

 

して赴任してきます。彼女は張り切り理想に燃えていますがクラスの生徒たちにはやる気が全くありませ

 

ん。それもそのはず、黒人、白人、ヒスパニックと肌の色で境界線を引き、徒党を組み、人種間の憎しみ

 

をむき出しにしている状態だったのです。黒人たちは18歳まで生きていれば幸運だとさえ思っています。

 

彼らの大部分が身近な人間を複数殺された経験を持っているのです。エリンは教材にラップを取り入れる

 

など努力を重ねていきます。ある日の授業中、ラテンアメリカ系のティコが黒人のジャマルをバカにした

 

絵を描きます。エリンはその絵を見て、第二次世界大戦のホロコーストがこうした差別から生まれたこと

 

を説明しますが、生徒たちはホロコーストという言葉さえ知りません。彼女は全員にノートを配り日記を

 

書かせます。返ってきたその文章にエリンはショックを受けます。十代の子供たちが背負うにはあまりに

 

も重い事実が書かれていたからです。エリンは『アンネの日記』を教材にしようとしますが、キャンベル

 

教科長(イメルダ・スタウントン)に予算の無駄と拒否されてしまいます。そこでエリンは、アルバイト

 

をして、彼らのために本を買います。『アンネの日記』を読みホロコーストの資料館を見学した生徒たち

 

はやがて自分たちの道を模索し始めます。そしてアンネをかくまった女性が生存していることを知ると彼

 

女を呼んで話を聞くためにアルバイトを始めるのです。裁判で偽証を強要されたり、兄が無期懲役になっ

 

たりもしますが、以前の彼ら、彼女らのようにもう自棄になったりはしません。エリンはパソコンを使っ

 

て自分たちの日記を本にすることを提案します。出版するあてなど元々無かったのですが・・・。やがて

 

ベストセラーになったその本のタイトルは「フリーダム・ライターズ・ダイアリー」です。