2013/9月掲載
「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」
冷たい雨に撃て、
約束の銃弾を
2010年日本公開 香港・フランス合作 上映時間1h49
STAFF
監督・・・ジョニー・トー
脚本・・・ワイ・カーファイ
撮影・・・チェン・シウキョン
音楽・・・ロー・ターヨウ
バリー・チュン
CAST
フランシス・コステロ・・・ジョニー・アリディ
クワイ・・・・・・・・・・アンソニー・ウォン
チュウ・・・・・・・・・・ラム・カートン
フェイロク・・・・・・・・ラム・シュー
ジョージ・ファン・・・・・サイモン・ヤム
ファーストシーン、マカオの高級住宅地。一家の主人が子供二人と車で帰ってきます。外は雨。
妻はキッチンで料理をしています。夫が家の中に入って直ぐにチャイムが鳴ります。夫が開けようとすると
扉越しにショットガンが撃ち込まれます。やがてフランスから初老の男・コステロがやってきます。
病院を訪れた彼の前には家族で唯一、死を免れながらも重体の愛娘・アイリーンの姿がありました。
コステロは、娘の家族を殺害した犯人は三人だったことを知ります。地元警察のウォン刑事から見せられた
現場写真を盗み出したコステロは、そこに“復讐”と書きます。その理由は彼は20年前まで殺し屋をしてお
り、過去の銃撃戦により脳に銃弾が残っています。そのため、書いておかないと徐々に記憶が蝕ばまれていく
のです。そんな中、クワイ、チュウ、フェイロクの3人は、組織のボスであるファンから殺しの依頼を受けま
す。彼らはホテルの一室でターゲットを仕留めますが、偶然、廊下ですれ違ったコステロに、フェイロクが
手にしていた銃を見られてしまいます。やがて、ホテルで男女の死体が発見され、ウォン刑事はコステロに
マジックミラー越しに並ぶ容疑者から真犯人を見つけるよう依頼します。その中にチュウの姿を見つけますが
コステロは「ここにはいない」と証言。そして釈放されたチュウと合流したクワイらに「仕事を頼みたい」と
依頼します。そしてコステロは、自らの秘密をクワイたちに明かすのです。
この映画は1967年製作のフランス映画「サムライ」(ジャン・ピエール・メルヴィル監督/主演アラン・ドロ
ン)を強く意識しています。「サムライ」の主人公はやはり殺し屋でジェフ・コステロと名乗っています。
この映画では名前を問われフランシス・コステロと答えます。それはジェフ・コステロの老いた姿でもあった
のです。またマジック・ミラー越しの犯人を見ても「知らない」と言う所は「サムライ」のワンシーンとそっ
くりです。
なおコステロ役のジョニー・アリディはフランスの国民的歌手でもあり、シルヴィー・ヴァルタン(アイドル
を探せ)の元夫でもあります。