2012/10月掲載
「SAFE/セイフ」「最強のふたり」「鍵泥棒のメソッド」「エージェント・マロリー」「ハンガー・ゲーム」
「ロック・オブ・エイジズ」
SAFE/セイフ
2011年製作 アメリカ 1h34 <予告篇>
STAFF
監督/脚本・・・・ボアズ・イェーキン
撮影・・・・・ ・ステファン・チャプスキー
音楽・・・・・・マーク・マザーズボー
編集・・・・・・フレデリック・トラヴァル
CAST
ルーク・ライト・・・・ジェイソン・ステイサム
メイ・・・・・・・・・キャサリン・チャン
トレメロ市長・・・・・クリス・サランドン
ウルフ警部・・・・・・ロバート・ジョン・バーク
ある事件でニューヨーク市警の刑事を辞め、マイナーな総合格闘技のファイターとなったルーク
(ジェイソン・ステイサム)は負けるように指示されていた八百長試合で勝ってしまいます。
試合を牛耳るロシアン・マフィアは大損をしてしまいます。そして制裁として妻を殺されてしまうのです。
生きる気力を失い地下鉄で飛び込み自殺を図ろうとした彼は、妻の命を奪ったロシア人たちが
アジア人少女メイ(キャサリン・チャン)を追いかけているのを目撃します。急にやる気になったルークは
少女を救い出して街に逃げ出します。そんな二人に汚職警官の一団や中国系マフィアが襲い掛かかります。
その少女は抜群の記憶力の持ち主でした。ニューヨーク・マンハッタンの街中を銃弾と悪い人たちが席巻します。
少女を守る者と奪おうとする者が、ただ撃ちあうだけのまるでゲームのような映画です。時々「レオン」を
想起させる場面がありますが内容は似て非なるものです。「SAFE/セイフ」ー 安心して鑑賞できる親切な
タイトルです。同じジェイソン・ステイサムの「トランスポーター」のような映画を期待すると泣きをみます。
最強のふたり
2011年製作 フランス 上映時間1h52 <予告篇>
STAFF
監督/脚本・・・エリック・トレダノ
オリヴィエ・ナカシュ
撮影・・・・・マチュー・ヴァドビエ
音楽・・・・・ルドヴィコ・エイナウディ
編集・・・・・ドリアン・リガル=アンスー
CAST
フィリップ・・・フランソワ・クリュゼ
ドリス・・・・・オマール・シー
マガリ・・・・・オドレイ・フルーロ
イヴォンヌ・・・アンヌ・ル・ニ
アダマ・・・・・シリル・マンディ
エレノア・・・・ドロテ・ブリエール
前列で観たので、目がくるくるするようなカーチェイスというサスペンスフルな出だしから、
上手にストーリーが巡っていきます。首から下が完全マヒの富豪と、セネガルからのアフリカ系移民の
介護とは縁がない男性は、貧富、文化、好みの音楽、価値観などが全く違います。
だから、どのものにも、どのことにも二面的な見方、感じ方があることを、2人の会話から浮かび
上がらせます(絵などは特に・・・)。最も鮮烈な違いは、障害があるかないかですが、余りの率直な
やりとりには、ヒヤヒヤします。でも、そのストレートさがこの映画の魅力でしょう。
いくら実話とは言え、単なる寓話になっていないのは、介護の青年の母親の働く姿や生活を
きちんと撮っているからだと思いました。 2012/10/6(い)
期待充分で鑑賞し「なーんだ」となってしまった映画は枚挙にいとまがありません。だが、この映画は違います。
大笑いするような作品ではなくクスリと笑わせ、ホロリとさせてくれます。何よりも省略が効いています。
だからテンポがとてもいいのです。この映画は実話に基づいていますが当の本人が「深刻な話にしないように」と
注文を付けたそうでその意思を充分くみ取った作品になっています。
フィリップ(フランソワ・クリュゼ)は大富豪で金銭的にはなに不自由なく暮らしていますが、
パラグライダーの事故で首から下が麻痺しています。当然介護が必要なのですが、生来の気難しさから介護人が
長続きしません。いつも面接をしています。そこへ見るからに頑丈そうな黒人青年ドリス(オマール・シー)が
やってきます。ドリスは貧しく失業保険目当てですから、勤める気など、はなからありません。
でもフィリップはその遠慮のないもの言いに惹かれ「取りあえずひと月来てみないか」と言い、採用することに
します。ドリスにとって初めて身近に接する障害者です。だから興味津々ですし、しかも遠慮というものが
ありません。感覚が無いということが俄かには信じられないのです。アブナイ方法で試してみたりします。
フィリップはそれまでの介護人による同情絡みのいたわり方が気に入らなかったのです。
その点ドリスは障害者だからといって同情するのではなく、ひとりの人間として接してくれるのです。
その対応が嬉しくて心が安らぐのです。折に触れドリスはフィリップを屋外に連れ出します。
そして障害者用の車に縛り付けるのではなく、普通の車に乗せブッ飛ばしたり、電動車いすも改造しスピードを
上げたりもします。フィリップは生きる喜びを見出しますが、恋にはシャイで文通相手のエレノアには
会うことができません。痺れを切らしたドリスが出会いの場を段取りますがうまくいきません。
そんな陽気で気さくなドリスも複雑な成育歴を持っておりその重い現実がこの映画をひきしめています。
ドリスが最後に洒落た真似をして幸せな気分にさせてくれ、思わず「コノヤロー」と手を打ってしまいます。
異質な二人が出会い強い友情で結ばれ、まさに「最強のふたり」ができあがったのです。
2012/10/9 八丁座にて(紅孔雀)
鍵泥棒のメソッド
2012年 日本 上映時間2h08 <予告篇>
風呂やでころび記憶を失った殺し屋の人生を、たまたまそこに居合わせた
売れない役者が入れ替わるという奇想天外な物語。内田けんじ監督の前作
「アフタースクール」もその前の「運命じゃない人」も観ていないので、比較ができないが、筋立てが上手く
練られていて、笑いながら一気に最後まで観てしまった。脚本にうるさいM氏の一言、「銭湯で入れ替わったと
いうことは、パンツも他人のをそのままはいたんじゃろうか?」は、いささか気になるところだが。(T.T)
エージェント・マロリー
2012年 アメリカ 上映時間1h33 <予告篇>
総合格闘技の大スターだそうだ。道理でアクションがすごい。
おまけに美人。しかも好みのタイプ。女スパイ役のジーナ・カラーノを
観るだけでも、もうけものだ。ソダーバーグは「本物」にこだわり、
スタントや編集によらないアクションに固執したのだろう。
マイケル・ダグラス、ユアン・マクレガー、アントニオ・バンデラスなどぜい沢な共演者を相手に、
一歩も引けを取らない演技だった。それにしても、ソダーバーグがこんな本格的なアクションものを撮るとは
想像できなかったな。(F)
ハンガー・ゲーム
2012年 アメリカ 上映時間2h23 <予告篇>
独裁国家パネム。国内の12の地区から男女1人ずつ計24人を選び最後の
1人になるまで戦わせるイベント。主人公は選ばれた妹に代り出場する。
もう、あれもこれもっていうぐらい観た様なシーンの寄せ集め。
主人公のキャラ設定に至っては『ウィンターズ・ボーン』のまんま。
それに、主催者側が、視聴者(テレビで中継している)を気にしてルールを変えるし。でも、主人公を
ドン臭そうな 女にした為か、結構ハラハラする。そこそこ楽しめる。日本語版で観たんだけど、
劇中の歌のシーンを声優さんに歌わせるのはやめたほうが。(Y)
ロック・オブ・エイジズ
2012年 アメリカ 上映時間2h03 <予告篇>
ミュージカルといってもロックなので、うるさくて猥雑だったりするのだが、
自分が若かった80年代を想い出しながら、キラキラ目を輝かせて夢と恋を
語る男女の物語を見るのは、面映くもあるが心地良い。
いかにもな人たちが出て来て、さもありなんな振舞いをするのも、歌って踊りながらなので退屈しない。
しかし、トム・クルーズは4オクターブの音域があっても、歌ってるより、走ったり、飛んだりしている方が
カッコいい。(I)