2013/12月掲載
「ゼロ・グラビティ」「武士の献立」「清須会議」「ルームメイト」「42~世界を変えた男~」
ゼロ・グラビティ
2013年製作 アメリカ映画 上映時間1h31<予告篇>
監督・・アルフォンソ・キュアロン
出演・・サンドラ・ブロック / ジョージ・クルーニー
「トゥモロー・ワールド」「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のアルフォンソ・キュアロン監督が、
宇宙空間に投げ出されてしまった宇宙飛行士たちの極限的状況を最新VFXと3D技術を駆使して描いた
SFドラマです。スペースシャトルのメディカル・エンジニア、ストーン博士とベテラン宇宙飛行士のマットは、
船外作業をしていたところでロシアが破壊した衛星の残骸に激突し宇宙空間に放り出されてしまいます。
空気も残りわずかで地球との交信手段も断たれ、絶望的な状況の中から生還を目指すのですが……。
ストーン博士は冷静な科学者です。宇宙に出るということは死と隣り合わせのはずですがその覚悟が
無かったのかバタバタと慌てふためきます。挙句マットが危機に陥ります。音響の迫力は素晴らしく、
また無重力の状態の考証にも納得です。登場人物はほぼ二人だけですが、エド・ハリスがクレジットされて
いたので何処に出ていたのかと思ったら地上の管制官で声だけの出演でした。
ハリウッド映画はその時代の政治的力関係を色濃く反映した映画を作ることがあります。
この映画もそれで、今ハリウッドがどの国で稼ごうとしているのかが良くわかります。
彼の国の観客が観たら大喜びすることでしょう。 2013/12/13 バルト11<紅孔雀>
『武士の献立』
江戸時代の中期、加賀藩で活躍した包丁侍と家族の物語。実在した料理方・舟木伝内、安信親子が今日に残したレシピ本「料理無言抄」を基に再現された、当時のご馳走の数々にのどが鳴る。剣に生きるつもりでいた次男坊、安信が、急きょ家督を継ぐ羽目になり料理上手の年上女房、お春の猛特訓を受ける。主君の跡目相続を巡るお家騒動に巻き込まれながらも、加賀藩の将来をかけた『饗応料理』のチームリーダーとして抜擢された安信は、如何に!世界遺産登録が確実となった『和食』の原点を味わえる作品。
(麦酒)
『清須会議』
「清須会議」のことは「歴女」ならぬ「歴男」だけに知っていた。本能寺の変で明智光秀に討たれた織田信長の重臣たちが集まった、あの有名な会議だ。その会議の醍醐味を十二分に、しかもユーモラスに伝えている。登場人物の意見が途中で変わる様は、三谷幸喜脚本の『12人の優しい日本人』を思い出した。小日向文世が演じた丹羽長秀がいい。もしかしたら、陰の主役かも。オールスターキャストの時代劇を、ご覧あれ。特に歴史好きの面々にはお勧めだ。
(たまご焼き)
『42~世界を変えた男~』
アフリカ系アメリカ人で初めてメジャーリーガーになった、ジャッキー・ロビンソンの実話を基にした物語。人種差別が当たり前の時代、観客も審判も、チームメイトさえも敵という状況を「やり返さない勇気」で変えていく様は、見ている私たちにも勇気を与えてくれる。彼がチームメイトであることを誇りの思い、そう出来る自分も誇りに思えるようになるといった事は、やり返して勝っていたのでは起こらない。ジャッキーを起用したGMも、陰で支えた妻や記者も良い。見た後、とても爽やかな気持ちになる映画。
(みかん)