「太秦ライムライト」 「舞妓はレディ」 [LUCY/ルーシー」 「マダム・イン・ニューヨーク」 「柘榴坂の仇討」


 

 

太秦ライムライト

 

 

013年製作 日本映画 1h44  <予告>

 

監督:落合 賢

 

出演:福本 清三/山本千尋

 

 

斬られ役として〝5万回斬られた男の異名を持つ福本清三が、本人を彷彿させる役柄


を自然体で演じています。

 

女優の卵に殺陣を教える主人公(香美山清三)の「一生懸命やっていれば、どこかで


誰かが見ていてくれる」と言うセリフが、福本清三本人の生き方、仕事への取り組み方


と重なります。

 

独特の斬られ方は脇役でも目立とうと考案したものという事ですが、その斬られ役一


筋の俳優人生を認められ、「ラストサムライ」に出演したり、今回の映画の主役に抜擢


されたりした福本清三。

 

いつだったか、「あの人のファンで」という老夫婦の話をテレビで見たこともあり


ます。どこかで誰かが見ていてくれるというのは、今を生きる人たちへの応援歌として


の言葉のようにも感じました。

 

103日(午前10:30分~)までの予定です。

 

生サロンシネマの劇場もおススメです。

 

便利な場所(東急ハンズ8階)に9月20日オープンしました。

 

                                  (みかん)

 


 

 

 舞妓はレディ

 

 

2014年日本映画 2h15 <予告編>  

 

 

監督・脚本:周防 正行 

 

 

出演:上白石 萌音/長谷川 博己

 

 

 

まず題名がしゃれてます。「マイ・フェア・レディ」(1964)の、下町の花売り娘を


レディにするために言語レッスンを、舞妓になるために必須な京都言葉の習得に置き換


えてという、監督長年の着想が見事に結実しました。

 

冒頭、老舗お茶屋・万寿楽を訪ねた春子(上白石萌音)が、「舞妓になりたい」と薩


摩弁と津軽弁まじりで歌う驚きのシーンにぐいと引き込まれ、続く華やかなクレジット


タイトル、期待値がいやが上にも高まるというものです。

 

さて春子は、居合わせた言語学者京野(長谷川博己)の計らいで、何とか舞妓見習い


(仕込み)を許されたものの、厳しい稽古にしきたり、何より京ことばに苦労するので


す。個人教授する言語学者の助手にまで、君には舞子に向いていないと言われてしまい


ます。

 

それでも失意の日々を、周りの支えで乗り越え晴れて舞台(見世出し)へ飛び立ちま


す。裾を引く振袖にびらびらの花簪、ぽっくり下駄にだらりの帯、可憐な舞妓さんに思


わず知らず見とれてしまいました。

 

全編に周防流の観察眼が生きていて、初めての人でもよく分かる「舞妓」入門映画に


なっています。ミュージカル仕掛けも出演俳優の個性が際立って楽しめました。何より


も伸び伸びと歌い踊るヒロインの輝きが眩しいばかり。暖かい幸福感に包まれる極上エ


ンターテインメントに仕上がっています。

 

周防監督作品の常連役者も総出演。「それでもボクはやってない」(2007)の加瀬亮


と瀬戸朝香も意外なところで出ています。

                                  (OK)

 


 

 

LUCY/ルーシー

 

2014年製作フランス 1h29 <予告編>

 

監督:リュック・ベッソン

 

出演:スカーレット・ヨハンソン/モーガン・フリーマン

 

 

 

「ひとはどこから来て、どこへ行くのか?」人類の永遠のテーマといえるこの問いに、

 

リュック・ベッソン監督は答えようとしたのか?本作を観てあらためて感じたことである。

 

  ひとは、その生涯を終えるまでに自分の脳のおよそ10%程度しか機能させていな

 

い、という世界的に有名な都市伝説「Ten Percent of Brain M

 

yth」をもとにつくられた。

 

  これまでも「ニキータ」「レオン」「アンジェラ」などの、人名をタイトルにした作

 

品を送り出してきたベッソン監督が、“神”といってもいい存在に近づく女性を描く。

 

  運び屋として体内に薬物を入れられた主人公ルーシー(スカーレット・ヨハンソン)

 

が、その薬物によって“脳の覚醒”を引き起こし超人的な能力を発揮していく。脳科学

 

者(モーガン・フリーマン)の支えも得て、ルーシーが人類の未来に向けて発したもの

 

は…。

 

 「TAXi」シリーズや「トランスポーター」シリーズで、監督が得意とするカー   

 

チェイスもたっぷり楽しめる作品だ。

 

 手塚治虫原作の漫画「火の鳥」を思い起こしながら観た。

 

   (せん寿)

 


 

 

マダム・イン・ニューヨーク

 

 

2012年インド映画 2h14 <予告編>

 

 

監督・脚本:ガウリ・シンディー

 

 

出演:シュリデヴィ/アディル・フセイン 

 

 

 

最近、目を見張るような作品が増えたインド映画ですが、またもや秀作登場! 

 

 料理が得意で、「ラドゥ」という贈答用のお菓子作りにいたってはプロ級の腕前の主

 

シャシは、家族の中で自分だけ英語ができないことが悩みです。思春期に差しかかっ

 

娘からも、学校での保護者の面談には父親に来て貰いたいとはっきり言われる始末。

 

  そんなある日のこと、ニューヨークで暮らす姉から、姪の結婚式の準備を手伝ってほ

 

しいと連絡が入り、家族より1か月早くニューヨークに出向くシャシ。しかし、英語が

 

しゃべれないことからカフェでコーヒーすら頼めず、店をパニックにらせるはめに。   

 

 落ち込んだシャシの目に飛び込んだのは「あなたも4週間で英語がでる!」という

 

看板。誰にも内緒で英会話教室に通い始めたシャシを、温かく迎え入れクラスメート

 

たち。いずれも、メキシコ、アフリカ、中国、フランスなどからニューヨークにやって

 

きた英語が苦手な人たちばかりでした。下の姪っこのサポートも受けながら順調に英語

 

の力を身に着けていくシャシ。

 

  ところが、予定より1週間も早くインドから家族がやってきたことで、英会話教室に

 

通えなくなってしまいます。しかも卒業試験の当日が姪の結婚式と重なるということも

 

判明します。

 

 ラストの姪の結婚式で、シャシが披露するスピーチが心を震わせます…。ぜひ映画を

 

ご覧ください。

 

 映画出演は15年ぶりというシャシ役の女優、シュリデヴィが気品ある魅力的なマダ

 

ムを演じています。彼女は2012年の“インド映画史100年国民投票”で女優部門

 

ベスト1に選ばれています。日本ではさしずめ吉永小百合さんといったところでしょう

 

か。インド映画にはなくてはならない歌と踊りも程よく入っています。

 

     (せん寿)

 


 

 

   柘榴坂の仇討

 

 

2014年 日本映画 1h59 <予告編> 

 

監督:若松 節朗  原作:浅田 次郎

 

出演:中井 貴一/阿部 寛/広末 涼子

 

 

「沈まぬ太陽」「ホワイトアウト」の若松節朗監督の最新作。原作は浅田次郎。桜田門

 

外の変を素材に、主君である井伊直弼を守りきれなかったSP、中井貴一(主人公・志

 

村金吾)が、敵となる水戸藩士、阿部寛(佐橋十兵衛)を幕末から明治にかけて13年

 

間追い続ける歴史ドラマ。時代が大きく変わっても、義に生きる習性から抜け出せない

 

不器用な侍二人の生きざまを描く。

 

 藤竜也(秋元和衛)が徳川時代の評定所お留役(現在の最高裁判所の書記官)、明治

 

新政府の司法省の顧問役として脇を固めている。秋元のもとに、金吾が情報収集の為訪

 

ねた際、秋元の妻が放つ。「身に着ける物は変わってもお二人とも、まだ侍の顔をして

 

いらっしゃる。難儀なことですのぉ」。思わずクスリと笑ってしまった。

 

 明治6年2月7日付けで政府から『仇討禁止令』が布告される。その新聞記事を読む

 

俥引き姿の十兵衛を見て、同僚の車夫がいう意味深な言葉。「字が読めるなんて、おま

 

えさん前はお侍じゃないのかい?あっしが思うに俥引きの大半は元お侍のような気がす

 

るんだ。心身を鍛えってからなぁ」

 

 酌婦をしながら夫を支える金吾の妻を広末涼子。十兵衛に思いを寄せるシングルマ  

 

ザーを元宝塚花組トップスター、真飛聖が演じている。

 

 剣の手練れを含む60名のお供を引き連れていた井伊直弼が、わずか18名の水戸藩

 

士になぜ暗殺されたのか?その謎にも迫る野心作。

 

 映画を観て原作を読むとさらに深く時代をうかがうことが出来てお勧めです。

 

 9月20日封切り。                     

 

(せん寿)