未来を花束にして
2015年 イギリス映画 1時間46分 <予告編>
監督:サラ・ガヴロン
出演:キャリー・マリガン/ヘレナ・ボナム=カーター/メリル・ストリープ
原題は「サフラジェット」女性参政権活動家の意だそうだ。これが「未来を花束にして」とい
う何やら連続ドラマの主題歌を意識したような、美しい邦題になる。だが、映画は少し、いや
かなり過激である。イギリスで女性参政権を求めて文字どおり闘った女性たちの物語である。
時は1912年のロンドン、イギリスで女性参政権運動が高まりつつあった時代。日本では明治か
ら大正へと移り、2年後には第一次世界大戦、そして5年後にはロシアで史上初の社会主義革命
が成功しソビエト連邦が誕生する、戦争と革命の時代である。
同時代を背景にした映画に『メリー・ポピンズ』(64)がある。メリー・ポピンズをナニー
(母親に代わって子育てをする女性)として雇う中産階級の夫人は、女性参政権運動に熱中し
デモにも出かける。こちらは穏健派らしいが、本作は少数派の過激グループなのだ。
主人公のモードは、ロンドン下町の洗濯工場で働いている。過酷な労働に7歳から従事し、21歳
の今は同じ職場の夫と結婚し、幼い息子との3人暮らしである。そんな彼女が同僚に誘われ
て、女性参政権運動にとびこんでいく。
歴史的事実をもとにした映画で、今では当たり前の女性参政権も、彼女たちの命がけの闘争が
あったことが分かる。凛々しくも美しい花たちが、未来を切り開いていく。まことに監督はじ
め、この映画を製作した人々の気高い心意気に心から拍手を贈りたい。
※
ここで終わっとけばいいものを、どうも納得がいかない。
まず、モードであるが、彼女がすべきは女性参政権よりも、職場の労働環境の改善ではないの
か。まずは仲間の労働者とともに、八時間労働制はじめセクハラ、パワハラに反対し賃金差別
の解消を目指すのが先決だと思うのだが。
また、7歳から働いて学校も満足に行っていないはずだから、まずは勉強やね。学んだことを家
庭で話し、まず身近な夫に理解を求める。
とはいえ、この時代だから(今でも?)、男たちは「めんどりは鳴かねぇもんだ」女は黙って
ろ、と無視し続けたんだろうな、きっと。ごめんなさい。 (OK)