2014年1月掲載

「小説家を見つけたら」「タワーリングインフェルノ」「RONIN]


 

 

 

小説家見つけ

 

 

2000年製作 アメリカ映画 上映時間 216 <予告篇

 

 

監督 ガス・ヴァン・サント

 

出演 ショーン・コネリー

 

   ロブ・ブラウン

 

   F・マーリー・エイブラハム

 

   アンナ・パキン

 

 

 

NYのブロンクス。黒人の高校生ジャマール・ウォレス(ロブ・ブラウン)がいつものように広場で仲間と

 

バスケットに興じています。その様子を三階の部屋から毎日のようにじっと見ている老人がいます。

 

老人は自分の部屋に引きこもったまま外には出てきません。ジャマールはプロのバスケットボール選手を

 

夢見つつも、実は大変な文学少年でした。そんな彼が、仲間にそそのかされ老人の部屋に忍び込みますが

 

見つかってしまいます。しかしジャマールの書いた文章が老人の眼にとまり出入りするようになるのです。

 

老人は40年前にピュリツァー賞に輝いた処女作一冊だけを残して文壇から消えた幻の小説家、ウィリアム・

 

フォレスター(ショーン・コネリー)だったのです。二人の間にはやがて師弟関係のような友情が生まれ、

 

ジャマールは文学の才能を開花し、フォレスターは長年閉ざされていた心を開いていきます。才能が認め

 

られジャマールに私立の有名校から転校の誘いが舞い込みます。彼は母と兄の三人家族です。当然のように

 

生活は貧しく“学費無料”のその学校に転校を決めますが、そこは決して居心地のいいところではありま

 

せんでした。ジャマールの才能に気づき嫉みはじめていたロバート・クローフォード教授(F・マーリー・

 

エイブラハム)のある生徒への理不尽な言動にジャマールが反発します。、それを根に持った教授がジャマ

 

ールが提出した作品のタイトルがフォレスターが昔発表したエッセイと同じ副題になっていることを咎める

 

のです。盗作の疑いをかけられジャマールは退学の危機にさらされるのですが、論文コンテストの時、それ

 

まで決して一人では外出しようとしなかったフォレスターが現われるのです。やがてジャマールのもとに

 

故郷に帰ったフォレスターからあるプレゼントが届きます。

 

 

晩年を一人で過ごす老人と差別の中にいる少年が互いに影響しあい自らを解放していく物語です。

 

バスケットの上手い俳優が見つからずジャマール役のキャスティングが難航しました。スタッフは最後の

 

手段としてブロンクスにある高校に募集のポスターを張り出します。それに応募したのがロブ・ブラウンで

 

した。とても素人とは思えないショーン・コネリーも舌を巻くほどの演技力をみせてくれます。監督ガス・

 

ヴァン・サントの前作「グッド・ウィル・ハンティング」で主演したマット・デイモンがラストでカメオ

 

出演しています。

 


 

タワーリ

 

  インフェルノ

 

1974年製作 アメリカ映画 上映時間245 <予告篇>

 

               <主題歌・愛のテーマ

 

監督・・ジョン・ギラーミン 

 

出演・・ポール・ニューマン

 

    スティーブ・マックイーン

 

    ウイリアム・ホールデン

 

    フェイ・ダナゥエイ 

 

サンフランシスコの空にそびえ立つ138階建ての世界一高い超高層ビル“グラス・タワー”が落成の日を迎え

 

ます。設計者のダグ・ロバーツとオーナーのジム・ダンカンは、屋上に立って眼下にひろがる街の光景を

 

満足そうに見下ろしていました。しかし惨事は、そのときすでに始まっていたのです。地下室にある発電機が

 

故障したため予備の発電機を始動させたとたんショートし、81階にある物置室の配電盤から出火。

 

保安主任ハリー・ジャーニガンの緊急報告を受けたロバーツは配線工事が自分の設計通りに行われていないこと

 

を知ります。火災警報装置もうまく働きません。手抜き工事が発覚します。ロバーツは落成式の一時中止を

 

申し入れますが、ダンカンは拒否します。しかしそのときすでに81階では火が大きく拡がりはじめていました。

 

一方、火災の発生をまだ知らない“グラス・タワー”の借間人たちは落成式パーティの準備に浮き足立って

 

いました。1階から80階までがオフィス用、それから上は住宅用に作られたこのビルには、すでにさまざまな

 

人が住んでいました。外部からの招待客もそうそうたる顔ぶれで、上院議員やサンフランシスコ市長などが

 

いました。だから面子上もパーティの中止は想定外だったのです。しかもテープカットと同時にビルの全ての

 

ライトがともされ、ますます過電流になり火は拡がります。ロバーツは独断で消防署に通報します。

 

連絡を受けた消防隊は隊長のマイケル・オハラハンを先頭にビルに急行します。彼はただちにロバーツと

 

“グラス・タワー”の設計図を検討し消火と救出にあたりますが、炎は次第にビル全体を包んで

 

いきます・・・。

 

 

今から40年前に製作されたパニック映画の元祖です。大迫力の撮影技術に感心します。この作品の2年前に作ら

 

れた「ポセイドン・アドベンチャー」のスタッフが数多く参加しており、その時の技術が生かされました。

 

最終的な消火方法は意外なものです。そのヒントはファーストシーンにあります。安全神話に寄り掛かったり、

 

面子に拘り事態を過小に捉えたりする風景は現実にもありますが、映画でも「タイタニック」や「ジョーズ」で

 

お馴染みです。9.11以後だったら公開が危ぶまれたのではないでしょうか。モーリン・マクガヴァンが歌った

 

主題歌「愛のテーマ」も大ヒットしました。

 


 

RONIN

 

1998年製作 アメリカ映画 上映時間202

 

          <カーチェイスシーン

 

監督・・ジョン・フランケンハイマー

 

出演・・ロバート・デ・ニーロ / ジャン・レノ

    

    ナターシャ・マケルホーン 

 

パリ。元諜報員たちが、謎の雇い主によって、中身が不明なあるブリーフケースを盗み出すという任務のために

 

集められます。チームの顔触れは、戦略に通じたアメリカ人サム、フランス人コーディネーターのヴァンサン、

 

東欧圏の電子工学の専門家グレゴー、アメリカ人の腕利きのドライヴァー、ラリー、武器の専門家スペンス。

 

そして指令者は謎めいた女ディエドラ。彼女の指示の元、作戦は着々と進められますが、挑発的な態度をとって

 

いたスペンスは口ほどにも無い弱腰をサムに見破られ、首に。風光明媚なニース。標的の一団を白昼の町中で

 

待ち受けて大胆なやり口で見事ケースの強奪に成功したチームでしたが、なんとここで裏切りが・・・。

 

ヴァンサンは腹を撃たれたサムを情報屋の老人の邸宅にかくまいます。老人がサムに日本のローニンの話を

 

聞かせます。しかしストーリーとあまり関係はありません。傷が癒えたサムとヴァンサンはケースの行方を

 

追って行動を再開。ふたりはケースはロシアマフィアの元に運ばれるとかぎつけますが・・・。

 

この映画の見所は巧みな筋立てとカーチェイスにあります。C Gなどではなくカメラや人の配置など全て

 

計算つくした実写です。どうやって撮ったのだろうと思ってしまいます。今はC G全盛時代です。

 

この映画のような裏方の技術も継承されることもなくそのうちになくなってしまうのでしょう。

 

監督のジョン・フランケンハイマーは「大列車作戦」や「フレンチコネクション2」などでも分かるように

 

この手のエンターテインメント作品を作らせれば期待を裏切りません。